3歳から通うことができるダンススクール「リディアダンスアカデミー」のフランチャイズ加盟開発が好調だ。同社は、約1年前に本格的なフランチャイズ展開をスタート、直近は半年で8名のFCオーナーが加盟し、教室数は14教室から38教室と約3倍に増加している。
リディアダンスアカデミーのFC本部、株式会社スポーツ&ライフ・イノベーションの三木侑平社長は「FCオーナーさんが出店した店舗の運営は本部が代行します。そのため投資型フランチャイズの側面が強く、店舗運営スタッフの確保などを気にする必要がありません。そのため勢いよく多店舗出店されるオーナーさんが多いですね。」と要因を語る。
また、急速な加盟開発の背景には、FCオーナー募集のための積極的な広告投資を実施しているのかと思いきや、全く異なるという。
「フランチャイズオーナーさんの募集は、資料請求サイトの利用や広告を回したりといったことは特にしていません。毎週オンラインで事業説明会を行っていますが、参加募集も役員がSNSに投稿しているだけですね。そのため1回あたりの参加者は少ないですが、それでも加盟が決まるので意外と効率よく運用できているという状態です。」(三木社長)

実際、同社のHPにはFC募集のページは現時点でも制作されておらず(制作途中とのこと)その状態においてもこれだけ加盟開発が進んでいるのは異例とも言える。またリディアを知る人からの口コミでフランチャイズ加盟の問い合わせも増えているようだ。
教室数が急速に増えている理由
広告をかけない加盟開発以外にも目を引くのが、フランチャイズオーナーの数に対して教室数(店舗数)がかなり多い点だ。現在、FCオーナー8名に対してFC校が20以上あり、リディアのFCオーナーは、1人あたり平均3校を短期間で出店していることになる。
この背景には、直営校・フランチャイズ校ともに共通したリディアの特徴的な出店戦略がある。リディアのフランチャイズは、対象エリアに対してドミナント形式による出店を基本戦略としており、具体的には10キロ圏内に「本部校」を1教室と「サテライト校」4〜5教室を出店するのが標準形となっている。
「本部校」はテナントを賃貸契約・内装等の工事を行って常設教室としてオープンするのに対し、「サテライト校」はレンタルスペースなどをレッスンのタイミングだけ借りるため、低コストで素早く出店が可能な仕組みだ。商圏によっては、1人のFCオーナーで最大10〜15店舗まで出店するパッケージもある。
そもそもダンススクールは、内装に初期投資があまり必要ではない業態だ。リディアダンスアカデミーの場合も、30坪スケルトン物件で、余裕を持って内外装費を見積もっても400万円と低コストだ。このコストは本部校のみで、サテライト校は基本的に内外装費を基本的には必要としない。

また店舗オープンまでの期間が短いことも特徴としてあげられる。さすがに1号店(主に本部校)は、スタッフの採用期間やFCオーナー向けの研修、オープン前の広告宣伝等が必要となるため2〜3ヶ月程度かかるが(これでも他業態に比べればかなり短いが)サテライト校になると内装施工もほぼ不要となるため、最大でも3週間程度あればオープンできる。
広告宣伝費をかけず、口コミでフランチャイズ加盟の問い合わせも増え、説明会参加からの高い決定率を実現している背景には、こうしたユニークなビジネスモデルが受けているようだ。
投資型フランチャイズ人気も追い風
これまで「投資型フランチャイズ」の代名詞といえば、コインランドリーや駐車場・自販機のような装置産業系のビジネスが中心だった。投資型は、フランチャイズオーナーが加盟金や出店コストを負担した後は、運用に関する手間が少ないという特徴がある。
最近では「投資型フランチャイズ = 無人(店舗)業態」という構図も浸透してきている。このトレンドを受け、これまで運営スタッフが必要だと思われていたビジネスモデル(例:フィットネスジムなど)をブラッシュアップして無人化し、フランチャイズパッケージとして展開している事例も見られるようになった。
しかし、リディアはスクール業態であるため無人化しづらい。また、キッズダンススクールである以上、生徒のケアも含めてリモートや遠隔指導は現実的とは言い難い。これをリディアは、FC店舗の運営を本部が代行することで、フランチャイズオーナーから見ると「(間接的な)投資型フランチャイズモデル」に仕上げている。

投資型のフランチャイズモデルは、前述した通り装置産業型のビジネスが多く、稼働してしまえば運用の手間や人件費等のコストが低い反面、初期投資が高くなる傾向にある。例えば、コインランドリーは専用の洗濯機だけでなく水回りの施工も必要となるため、開業資金は一般的に3,000万円〜4,000万円程度かかると言われている。また24時間営業のフィットネスクラブでも3,000万円〜1億円程度の初期投資がかかる。
その点リディアは、加盟金や保証金などを含めても、本部校で500万円〜1,000万の間で初期投資が収まる。サテライト校においては開校にかかるコストはさらに低い。
つまり、投資型フランチャイズの領域において、リディアは低コスト型として食い込み始めていると言える。またスクール業態は「生徒数×会費」と売上要因がシンプルで、黒字までのロードマップが見通し安く、ストック型の収益構造になるため売上の安定性も高い。
投資型のフランチャイズモデルを探す加盟希望者に対して、リディアのビジネスモデルは「低コスト開業」「安定したストック収益」という魅力的な訴求になっていることも加盟開発が好調の要因と言えるだろう。
広がるエリアに本部は「大変」
リディアの本部は大阪にあり、1号店(直営店)も同じく大阪にて産声をあげた。しかしフランチャイズ展開を開始してから、リディアの店舗は全国に広がっている。現在、リディアの直営・FC店舗が展開するエリアは、大阪、名古屋、神奈川、兵庫、滋賀、金沢と東名阪を中心に展開されており、大阪以外は基本的にフランチャイズでの出店だ。
「リディアの提供エリアが広がり、急速に店舗が増える中で、本部としてはスタジオ運営を責任をもって行う必要があるので、仕事がかなり増えていて大変ですね(笑)」と三木社長は苦労を語る。本部による店舗運営の代行は、フランチャイズオーナーにとっても利回りを確保する上で重要なポイントだ。そのため、本部が運営体制をいかに整備しているかは確認する必要がある。
三木「弊社は大阪が本社ですが、店舗が全国に広がってきたので、現在は本部スタッフを大阪・東京・神奈川の3拠点で雇用しています。今後、展開エリアが更に広がればそれに応じて本部スタッフの採用エリアも広げる計画です。」
三木「本部スタッフの採用エリアを広げる意味としては大きく2点あります。1点目は、各地のフランチャイズオーナーさんと店舗スタッフをできるだけ近い距離からサポートするためです。2点目は、事業継続性を確保するためです。天災などコントロールできないリスクが起きた際に、店舗運営を担っている本部が機能不全を起こさないように分散させる狙いがあります。」

スクール業態に欠かせないもう1つの要素は、レッスンを行う「講師」の確保だ。
三木「講師の採用という面では、正直に申し上げると地方になればなるほど大変になります。逆に言えば都心部はスムーズです。都心部は若手ダンサーの母数がそもそも多く、活躍の場を求めているダンサーの方が多い状態なので、応募がどんどん来ます。そう聞くと、地方の方が活躍の場が少なそうだから採用が楽だと思いますよね。現実は逆で、これは若干特殊な事情がありエリア格差もあるのですが、地方だと既に老舗のダンススクールがあって、そこが囲い込んでいることが多いんです。そういう意味では大変ですね。」
都心部以外での出店は採用以外にも苦戦する要素が多そうだが、その点についても聞いた。
三木「採用は大変なんです。一方で、地方部だと家賃が安いのでサテライト校、直営校と分ける必要がなく、集客さえうまく行けば利益を出しやすいですね。集客面でいうと、老舗のダンススクールはありますが、競合の数という面では少ないんですよね。リディアのウェブサイトは『ダンス系のキーワード』で上位表示されていることが多く、さらに広告投資を行うので、現状は問題ないですね。」
直近でオープンしたフランチャイズ店舗は、都心部とは言えない商圏だが、3教室で300名の生徒が集客できているという。エリアごとの特性や差はあるが、それを乗り越えるビジネスモデルの構築ができていると言える事例だろう。
理念に共感頂けるなら是非「資料請求」を
三木社長は、リディアは「子どもの笑顔と成長をつくる」ことを理念に運営していると語る。そのため最近は「単純に儲かる」という動機だけの加盟申請は断ることも増えているという。
三木「弊社のフランチャイズは、1人のオーナーさんにできるだけ多く出店頂くのが理想だと思っています。そういう意味では、理念に共感頂けることが重要で、本部として長くお付き合いしていけるか、フランチャイズオーナーさんを見極めることも意識しています。」
リディアでは、年に1度「発表会」という形で、生徒に日頃の成果を発揮する機会を提供している。しかし、それ以外にも生徒の活躍の場を作ることも、フランチャイズオーナーの役目だと三木社長は語る。
三木「例えば、大阪の教室に通う生徒には、今年J3に昇格したFC大阪のホームゲームでキッズダンサーとして出演してもらったり、リディア創業地である守口市のシティプロモーション動画に生徒が出演できる機会を作ったりしています。守口市からは感謝状も頂きましたね。」
三木「このように、リディアに通う生徒たちが活躍できる場を作っていくのもフランチャイズオーナーさんの頑張り次第だと思っています。子どもの未来を想うからこそ、頑張れると思うんです。だから理念に共感頂けることが重要だと考えているんです。ご自身の地域にすまれている子どもたちの未来を想える方には、ぜひ資料請求からお気軽にご連絡頂けると嬉しいです。」